日暮里の駅の改札近く、東口の方から、美しい鈴の音が聞こえてくる。
不思議に思ったあなたが、音のする方へ視線を映すと、一匹の猫が駆けていった。
(こんなところで、何しているんだろう?)
人波をすり抜けるようにして走る小さな背中を追いかけて、エスカレーター脇の階段を降りていくあなた。
「あれ……?」
いつの間にか猫の姿はなく、踊り場には一枚の紙きれが落ちていた。
拾い上げると、
「大事なものなんだ、返してっ!」
と小さな声がする。
振り返ると、先ほどの猫が二本足で地団駄を踏んでいた。
「それは、日暮里の猫に代々伝わる宝の地図。なかなか解けなくて困っているんだ。さぁ、ほら返してよっ!」
ピョンピョンと跳ねる姿が愛らしくて、思わず微笑むあなた。
「もしよかったらその暗号、一緒に考えようか?」
猫はパッと瞳を輝かせ、嬉しそうに頷く。
「手伝ってくれるのか?
ボクの名前は、“レトロ”。宜しく頼むよっ!」
こうして、あなたとレトロの不思議な日暮里旅が始まった。
まちのあちこちに暮らす猫たちの話を聞いて、
宝物を見つけ出そう!